防藻ライニング材と銅板の耐久性比較実験
砂見 呼 株式会社スナミヤ 代表取締役
三品文雄
月刊下水道 Vol.24掲載
はじめに
下水道は、普及率が全国で60%を超えるに至り、管理の時代に入ったと言われるようになってきた。建設コストの削減もさることながら、維持管理コストの削減も下水道の経営に重要なポイントとなりつつある。

このような状況の中、処理場での維持管理の大きなコストを占める作業に、最終沈殿池での藻(写真 -1)の除去作業がある。この作業は、意外と頻度が高く、週に1〜3回の作業となっているケースも少なくない*1)。
また、コンクリート内に深く根付いた藻は、コンクリートを劣化させ、高圧水やデッキブラシでもそう簡単には除去できない厄介な作業となっている。下水道技術の目覚しい進歩の中、このような管理に関する技術の遅れは大きな課題として残っている。

現在、この防藻対策として多く実施されている方法は、銅板を処理水越流トラフやノッチに貼り付ける方法である(写真 -2)。この方法が一般化するに至り、処理場での藻の除去作業は大幅に軽減された。
しかし、この方法にも欠点があった。それは銅板が高価なため、通常厚みが0.5〜1.5mmとなっているが、越流ノッチから処理水が落ちる部分での劣化が激しく、そこから2〜3年で孔が開いたり銅の溶出により薄くなり剥がれたりして、頻繁に交換しなければならないといった事態*1)がおこっている(写真-3)。

また、銅の大量溶出は環境に対してもあまり良いとはいえない。下水道法や水質汚濁防止法では銅の排出基準は3mg/リットル 、水道法の飲料水水質基準では1mg/リットル以下とされており、下水の放流水中の濃度も少ない方が望ましい。ちなみに、自然界である海水中には、銅は0.5ug/リットル程度含まれている。

この対策として、防藻ライニング材が開発されたが、当初、皮膜が剥がれたり防藻効果の劣化が意外と早かったり、イメージカラーが悪かったりして普及が遅れていた。しかし、その後改良が重ねられ、今日に至っている。

今回の実験は、銅板と防藻ライニング材を用い処理水での銅の溶出実験を行い、その溶出量を測定することにより、防藻ライニング材の少ない溶出量での効果を明らかにしたので、報告する。