水系フッソポリマーセメント「ラインガードF2」の防食性能について
砂見 呼 (株)スナミヤ 代表取締役
月刊下水道 Vol.26〜27掲載
はじめに
ある種の金属を抗菌剤としてコンクリートに混合し、抗菌・防食コンクリートとして下水道施設などに使用されている。
我われも下水道の最終沈殿池に銅イオンを利用した材料(ラインガード)を開発して、既に20年の実績と評価を得てきた。
しかし、いずれも低濃度硫化水素雰囲気での利用にとどまった。
現在、下水道施設のコンクリート防食は樹脂ライニング工法が主流であるが、施設が狭く複雑な構造もあり、換気条件が悪いことなどから、作業環境の改善が望まれている。
最近、耐硫酸性のすぐれたフッソ系ポリマーセメントモルタルが開発されたこともあり、最初沈殿池に実地施工を行い、水性系の材料である抗菌剤入りのフッソ系ポリマーセメントの可能性を調べることにした。
目的
下水処理施設において、コンクリート腐食・劣化が問題となっており、これらの最大の原因が下水や下水汚泥中硫化物や硫酸塩還元細菌・硫黄酸化細菌の代謝作用によって発生する、硫化水素から生成される硫酸が主原因となっている。
この実地試験は平成7年8月、今治市北部浄化センターの最初沈殿池の壁面箇所で実施した。
この試験では、金属イオンの抗菌作用を利用することで、コンクリート腐食環境の因子である硫酸塩還元細菌・硫黄酸化細菌の生成を抑制しようとするものである。
また生成された硫酸に対しては、配合されているフッソ樹脂の防食性を確認することにある。
施設の概要
施設の名称:今治市北部浄化センター
所在地:今治市内堀1-185-15
供用開始:平成3年3月
処理方法:下水:標準活性汚泥法
     汚泥:嫌気性消化法
コンクリートの初期強度:210kgf/
試験箇所の概要
試験箇所の概略図を図-1に、また試験施設場所を写真-1に示す。